旅の記憶ーベルギー・ブルージュ

日本からドイツのフランクフルト空港に入り、中部ドイツの街を観光し、ベルギーを巡りパリから帰国予定のプランをお持ちの方からベルギーで立ち寄ると楽しいおすすめの街は?と尋ねられました。
ベルギーには過去数回の訪問で合計ひと月ぐらい滞在したことがあるのでいろいろな思い出があります。

はじめての訪問はちょうど12年前の1994年の9月でした。もう冬の扉が開いて日に日に冬支度に入ろうとしている北欧3ヶ国をまわったあと、スウェーデンのファールンという小さな街から夜行列車に乗り込みました。夜の8時くらいに出発してベルギーのブルージュに到着したのは翌日の午前中10時くらいだったと思います。列車がプラットホームに滑り込むと、駅名プレートには美しい色のタイルにアールヌーボー様式の文字で描かれていて駅の佇まいからオシャレな空気が漂っていたのを思い出します。

長旅の疲れを解くために駅の食堂に入りました。最初にコーヒーを注文すると小さな銀のお盆にレースペーパーが敷いてありその上にコーヒーとミルクとシュガーポットがのってきました。機能性を重視する北欧諸国とは異なるスタイルで、楽しい気持ちになりました。コーヒーを飲んで目が覚めてくるとおなかがすいてきました。スープでも、と注文するとパリのビストロでしかみかけないような小さな植木鉢のような深いお皿に入ったおいしいスープが運ばれてきて幸せな気持ちになりました。おかげで元気に新しい街を散策することができました。