伝統と挑戦ーカステル・ペーター醸造所〜2011/05/11


今回最初の訪問先はファルツ地方、バード・デュリュックハイムにある
カステル・ペーター醸造でした。

ドイツに到着したのは前日の夜です。
10時間のフライト後、列車でファルツ地方ワイン街道の中心地ノイシュタットの友人宅へ到着したのは夜の8時前。


懐かしい友人の顔に再会できた安心感と用意してもらった軽い夕食のおかげで(もちろんファルツのリースリングとともに(*^_^*)一気に眠気がやってきて8時半にはベットに横になっていました。



通常は時差の関係で2,3時間で目が覚めることが多いのですが今回は朝4時半くらいまで8時間ぐっすり眠り、シャワーを浴びた後、まだ眠りから覚めていない木組みの街並みが美しい静かな街をお散歩。
そして香ばしい黒パンとコーヒーの朝食にドイツを実感しました。
毎回感じることですがドイツは世界一パンが美味しい国ではないでしょうか。

必携 ワイン基礎用語集―ソムリエ試験に役立つ

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ノイシュタットからバード・デュリュックハイムまでは列車で20分。
いつもは空いている2両編成の列車が10時過ぎの列車に乗ると遠足に行くのか先生に引率された小学生たちで満席でした。

10時半ちかくにバード・デュリュックハイムに到着すると
すでにアルブレヒトさんが車で迎えに来てくださっていました。

カステル・ペーター醸造所は
2007年に以前のオーナーであるヴィルフリート・ペーター氏から現在のアルブレヒト氏と醸造責任者であるバーバラさんに譲渡されています。

1998年の5月にオックス夫妻の紹介で初めてこの醸造所を訪ねた頃の私はドイツの赤ワインにはほとんど興味がありませんでした。
というのもそれまで日本に輸入され飲む機会があったドイツの赤ワインは主にラインガウ地方やアール地方のシュペートブルグンダー種で造られたもので、価格も品質と比べて割高、よくいえば上品なのですが私にはどこかもの足らず、同じお金を払うのであればフランスやイタリアのワインを選択していたのです。


当時の私は「ドイツワインの魅力はモーゼルリースリングに尽きる」というスタンスでしたから「新樽を使った面白い赤ワインを作っているグループがファルツ地方にあるけど訪ねてみる?」というオックス夫妻のアドバイスがなければ出会うことのできなかったご縁でした。



そして初めてカステル・ペーター醸造所のバリック(新樽)仕込みの赤ワインを口にしたときの驚きはドイツの赤ワインに対する興味を喚起された瞬間でした。
30年近く前は生産量の9割近くが白ワインだったドイツも現在では赤ワインの占める割合が4割近くを占めるまでになりました。

さて、醸造所に到着して試飲ルームに移動。
「何からテイスティングしますか」と尋ねられ「では辛口の白から」と最初にグラスに注いでもらったのは1リットルボトルに詰められた「リースリングのトロッケン」瓶詰めして2ヶ月が経過しているとのこと。

バランスよくエレガント、こんなグラスワインが気軽に飲めたらいいなぁ、と思わせてくれるよくできたワインです。


ちなみに滞在先の友人たちが普段 愛飲している某有名醸造所の1リットルリースリングと比較してみたくなり、この日分けていただき持ち帰ったのですが品質的に遜色なくまた価格的にカステル・ペーター醸造所のワインは優っていました(*^_^*)

ここでバーバラさんが葡萄畑での作業を中断して戻ってきてくれました。

続いてシルヴァーナー、ヴァイスブルグンダーとオクセロワの混醸、グラウブルグダー、シャルドネソーヴィニヨン・ブランと白の品種ちがいを次々にテイステング、どれも品種の個性を感じさせつつ調和の取れた味わいで飲んで素直においしい、思える安心感があります。



2007年に女性醸造家であるバーバラさんにバトンタッチされて大きく変化したことのひとつに白ワインの品質向上があります。


同一の畑、葡萄を使って造るワインがこれほどまでに変化するとは、
私にとって大きな体験のひとつです。

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