ヴェンデルシュトックで葡萄の収穫


10月18日木曜日
ブルグ村のクノッド醸造所所有の畑「ヴェンデルシュトック」でピノ・ノワールの葡萄の収穫に参加させてもらいました。

畑「ヴェンデルシュトック」といえば高品質リースリングが生産される畑と認識していたのですが今年の5月に買い付けのため醸造所を訪ねると「去年初めて手がけたピノ・ノワールだよ」とグラスに注がれ思わず「え?ピノ・ノワール栽培してるの?」とびっくりした経緯(いきさつ)があります

透明感溢れる美しいルビー色
様々な香りのエッセンスともいえるような凝縮した香りはドイツ産シュペートブルグンダーとは異なるスマートで魅惑的なものでした。
味わいはまだまだ飲むにはもったいない熟成途上の感じはありましたがライナー・クノッドさんの新境地といえる1本です。
(ちなみにこのピノ・ノワールは今年の25番です)

クノッドさんの説明によるとヴェンデルシュトックは栽培面積が大きな畑で複数の所有者がいてこれまで彼はリースリングのみを手がけてきましたがピノ・ノワールを10年栽培していた方が畑を売りに出したので譲り受けたとのことでした。

その葡萄を使って2010年から本格的な赤ワイン造りに着手。前述の25番はライナー・クノッドさんの処女作です。(最近も飲む機会がありましたが当日よりも翌日さらに香りが華やかになりこれからの熟成がほんとうに楽しみです(^_^)



と、いうわけでモーゼルに着いてから電話で摘み取りに参加したい由を伝えると「17日水曜日にヴェンデルシュトックのピノ・ノワールを摘むよ」と言われて「ぜひ参加させて!」とお願いしたのでした。
しかしその17日に市長さんのお葬式がかさなり(彼もヴェンデルシュトックでリースリングを栽培していたそうですが)摘み取りは18日に延期されます。
私自身は18日にモーゼルからバーデン、ファルツへ移動するつもりでいましたので予定変更をいったんは迷ったのですがこんなめったに出会えない機会を(収穫参加は年に1回ですからね!!(^_^)やはり逃したくなくファルツへの出発を1日延期して葡萄摘みに参加したのでした。


18日当日は朝から秋晴れの快晴、風もなく陽射しもしっかりあり予想外に汗ばむ陽気となりました。
トラーベン・トラーバッハからリヒャルトさんに車でブルク村まで連れて行ってもらいます。葡萄の摘み取りは通常10人前後のチーム。
この日はすでに8時半から摘み取りがスタートしていてヴェンデルシュトックに到着するとたくさんの人たちが和気藹々と働いていました。
クノッドさんからハサミを渡され摘んでよい葡萄と摘まなくてよい葡萄のちがいの説明を受け担当する葡萄の列を指示されました。

ピノ・ノワール(シュペートブルグンダー)は小粒の葡萄品種です。
醸造用葡萄品種の場合、ワインになった際の香りの成分は皮の裏側にあるので絞った葡萄ジュースに対して表面積が大きくなる粒の小さい葡萄ほど香り高いワインができあがるそうです。また同じ品種であってもいくつもの系統があり粒の大きさにもいろいろあるようです。
このヴェンデルシュトックで栽培されているピノ・ノワールはフランス、ブルゴーニュから苗木を取り寄せて栽培したものだそうですが色も濃く、直径1センチに満たないくらいの粒がぎっしりつまっていました。そしてなにより食して美味しい!完熟した甘みにほどよい酸味があり味見した葡萄のあまりの美味しさに摘み取りを忘れてほとんど葡萄狩り状態でパクパク食べていたら摘み取り仲間から「そんなに食べてたらジュースにする量が減って来年のワインの値段があがるよ」と笑われたくらいです。

「帽子をかぶってくるんだったな」と後悔するくらいに強い陽射しが照りつける中、油断をすると足下がずるずると滑ってしまうシーファー土壌の斜面の畑の中、一房一房ぶどうの摘み取りが続きます。12時半くらいにお昼ごはんのため醸造所に戻りライナーのおかあさんが作ってくれたグーラッシュスープを頬張り午後から再び畑に行きましたが2時半くらいに斜面で踏ん張りながらの葡萄摘みにふくらはぎも痛くなってきて疲労困憊「きょうの仕事はこれまで」という気分になってしまいましたが他のメンバーは慣れた様子で陽気におしゃべりしながら次々にアイマー(摘み取った葡萄を入れるバケツ)を満杯にしていくのをみて私だけ抜けるわけにもいかないし、と頑張りました。3時くらいにピノ・ノワールの摘み取りが終わりこんどは車でリースリングが植えられている畑に移動、お仕事まだまだ続きます(^_^;)